この記事では右も左もわからないという初心者の方へ向けて、水槽用照明の選び方を解説していきます
一口に「照明」と言っても様々な種類がありますが、水草を元気に成長させるためには照射される光の質も重要です。
例えば100均の小型ライトやインテリア性を重視したレトロ電球など、安さや見た目を重視しすぎて肝心の水草が育たないようでは本末転倒ですし、さらに追加で別の照明を買い直す手間も費用もかかり、時間もお金も余分に費やしてしまいます。
- できれば、あまりお金をかけずに照明をそろえたい
- はじめての照明選びに失敗したくない
今回はこのような方に向けて初心者でも失敗しにくい水槽用ライトの選び方、選ぶ時の注意点などをまとめていきます。
この記事を読めばあなたも、予算に合った適切なコスパの照明選びができる事でしょう。
まずは結論から
- 知識武装無しで、照明予算の削減は禁物
- アクアリウムメーカーの水草育成用照明を選ぼう
- 何もわからなければとりあえずおにぎり
- 生体の色味にもこだわるならRGBライトが今は主流
それではザックリと解説していきましょう。
水草育成用の照明選び注意点
ここでは、照明を選ぶ際に重要な失敗しないための注意点を具体的に一歩踏み込んで解説していきます。
【ポイント1】『照らせるならOK』というわけでもない
まず前提として、照らせるなら何でもいいというわけではありません。
水草には水草に適した光の品質というものが存在していて、各社アクアリウムメーカーが様々な水草育成用の照明を販売しています。
白熱灯や室内用照明なども使えなくはないですが、水草の育成不良がおきたりコケの発生にも関係してくるので、しっかりと性能を見極めて水槽専用のLED照明を買いましょう。
【ポイント2】光の強さ、色合い、波長などが密接に関わる
では水草が求める光の品質はどのような基準で判断すればいいのでしょうか?
この疑問に関しては照明のパッケージに書かれているスペック表記を確認する事である程度の判断が可能です。
具体的には
- ケルビン値
- ルーメン数
- 演色率
- 波長
これらが記載されている照明を選び、スペックを気にする事でその照明の良し悪しの判断になります。
それぞれの性能表記が何を意味しているのかは次の記事で詳しく解説していますので、照明の性能についてより深く理解したい方は確認してみましょう。
【ポイント3】性能に比例して価格も青天井で上がる
残念ながら水槽照明の世界は、お金をかけられれば掛けられた分だけ青天井で性能の良い照明にありつけます。
しかし金銭事情は人それぞれ。
自分の趣味に対して自由にお金をつぎ込める方は心配ないと思いますが、学生さんやお小遣い制のパパさんなど、限られた予算の中でアクアリウムをやるという方もいると思います。そんな方は価格を抑えながらも最低限の性能は確保された照明を模索する必要がありますね。
予算を抑える場合は妥協点を探る
過去に私も苦い思い出がありますが、初心者の段階で一番最初につまづきやすい設備選択が「照明」です。
あまりにも安い照明器具を使うと水草が思い描くように育ってくれず、水槽管理そのものを失敗してしまう要因になりかねません。
次の項目では必要最低限の育成環境を確保しつつ照明の価格を抑えるために自分が確保できる予算と、どのような水槽作りを目指しているか?を基準として、購入するべき照明性能と価格の相場観を目的別にザックリと解説していきます。
【低価格・中価格・高価格】価格帯それぞれの照明性能でやれる事まとめ
ここでは60cm水槽の照明を一例として「どの価格帯なら、どんな水草が育成可能なのか?どのようなこだわりを実現できるのか?それともできないのか?」を深く掘り下げて確認していきます。
あなたの設置している水槽が60cm以外のサイズであっても、価格の規模は多少変化しますが同じように考えられるので相場観を参考にしてみてください。
- 低価格…5000円前後にしたい
- 中価格…10000円前後にしたい
- 高価格…15000以上かけても大丈夫
皆さんの予算をこのように3段階に分けて、それぞれの予算で何ができるのかを確認していきましょう。
(60cm水槽の場合) | 照明予算の価格帯(5000円前後) | 低価格(10000円前後) | 中価格(お金をかけられる) | 高価格
照明の種類 | LED照明 | 高出力LED照明 | RGB照明(+UV) |
光の強さ(Lm数) | 約1000Lm | 2000~3000Lm | 2500~6000Lm |
育成可能な メインの水草 | 陰性水草が中心 | 前景・後景草を含めた ほとんどの水草 | 前景・後景草を含めた ほとんどの水草 |
代表的な販売機種 | GEXクリアLEDパワーⅢ600 | Aqulloトライアングル・グロウ | Chihiros LED WRGB2 |
低価格(予算5000円前後の人)→陰性水草中心の育成
どんなに節約しようとも60cm水槽の場合は、最低でも5000円前後を照明費用として確保したいところです
光の強さをLmという数値で表す指標がありますが、この価格帯では1000Lmぐらいの性能を持った照明が一般的で、この数値だと育成可能な水草に制限のかかる場合があります。
低光量でも育成可能な陰性水草や背の高い有茎草などは育てる事ができますが、どちらも成長速度が遅くなる傾向にあるので、陰性水草をレイアウトのメイン素材として取り入れる場合や、植物の成長を気長に見守ることができる人はこれぐらいの価格帯でも水草水槽を上手に作れるかもしれません。
草原のようなレイアウトを作りたい方は、おもに前景草と言われる水草がメイン素材となるので、5000円前後の照明では性能不足により水草が十分に育たない可能性も出てきます。
え?じゃあこの価格帯では水草育成が全くできないの?
と言われると実際はそうでもないですが
綿密な水質管理が必要だったり、やれることの選択肢が狭まると思いますので、何もわからない初心者の方がいきなり手を出す価格帯とは言えないのが現状です。
ただ初期投資を抑えたい気持ちは、私も経験があるので非常にわかります。
1万円以上になると、やっぱり予算の敷居が高く感じてしまいますよね?
そんな方にお勧めしたい照明がこちらの2種で、価格を抑えつつも多くの水草をある程度育成可能な照明になります。
GEXさんから発売されているクリアLEDパワーⅢと
コトブキ工芸さんのフラットLEDシリーズです。
コトブキフラットは上の「HL」モデルと、光量が若干落とされて安価になっている「SS」というモデルが存在するので間違いの無いように「HL」の方を購入しましょう。「SS」では水草は育ちにくいと考えた方がいいです。
どちらの機種も必要最低限1000Lmの光量を確保しており、有茎草であってもグリーンロタラなどの定番種は十分育成が可能な照明です。
販売メーカーも昔から水槽用品を取り扱っているGEXさんとコトブキさんなので、失敗の少ない初めの入門として一番現実的な照明の代表ですね。
今の時代、不要になったらメルカリなどで中古販売も可能なので、後々でも照明の追加購入を躊躇しない方は最初の入門として感覚を掴むためにも、まずはこの価格帯の照明を買っていいかもしれません。
中価格(予算10000円の人)→水草の品種に制限なく育成が可能
照明性能や育成可能な水草数とのバランスで、最も妥協できるラインの照明予算が1万円という価格帯です。
この金額ならば光の強さも2000~3000Lmと強力な機種が多く、ショートヘアグラスやキューバパールグラスなどの「前景草」と呼ばれる水槽の底面に植えた水草にもしっかり光が行き届き、元気に育ってくれる光量になります。
世の中に出回っているほとんどの水草を育成する事が可能な照明性能を確保する事ができるので「とにかく何を選べばいいのかわからない、でも失敗しはしたくない!無駄な買い物はしたくない!」と感じる方は一番初めの照明予算として1万円確保する事をオススメします。
しかも
この価格帯には現状で絶対王者とも言える超定番の照明が存在します。
それがこちら
初心者がSNSやネットの情報版などで照明選びの質問をした際に、だいたいの熟練者がオススメする照明で、大手ペット通販ショップのチャームさんが販売しているこちらのAqullo(アクロ)トライアングルグロウです。
その形状から「おにぎり」の愛称で長年親しまれているこの照明は、2022年の10月現在でなんとその価格が60cm用で¥8,890と一万円を大きく下回り照明性能も公表値で3000Lmを確保している性能と価格のバランスがとても高水準なLED照明です。
もちろん、水槽の底面に植えてある前景草にもしっかりと光が届き、私の経験からしてもこの照明で光量不足になった水草はひとつもありません。
この照明が出す光に含まれている「波長」という要素も、水草の育成に必要な物が含まれているので、同じLm数の別機種よりも育成速度が速い傾向にあります。
初心者にはまずこれを一個買わせておけば大体OKじゃね?
といった感じで
経験者へ雑に思わせてくれるほどにコスパも性能も非常に優秀な照明です。
もちろん私も使用経験がありますが、今でも使用している優秀な水草用照明です。
高価格(価格に制限を設けない場合)→生体も含め色味が鮮やかに
「照明の予算に制限を設けない」という方はかなり余裕をもった照明選びができます。
今現在のハイエンド照明は
RGBライト
というものが主流で、点灯部についているLEDの発光体をアプリやリモコンを使って自由に変色させることができます。
例えば光の強さと色合い、機種によっては24時間の自動制御でON・OFFの時刻も自由に設定できるので、まさに管理者の思いのままに水景を彩ることができます。
また、中価格帯で解説した高出力LEDとの大きな違いは「RGBライトは水草の成長だけでなく生体の色彩にも影響を与える」という点です。
上の写真は実験として
リンゴ2個にRGBライト・LEDライトをそれぞれ照射して近くで確認した画像です。どちらも同じリンゴで同じ向き、私のiPhone11を使い通常の撮影をした写真ですが、LEDライトよりもRGBライトの方が赤い部分を強調されているのがわかるかと思います。
いままでのLEDは色が固定された発光体を照明内に使っていて、一般的には元から白色のLEDを採用する場合が多く、生体の持つ青色や赤味までは引き立てる事ができません。
RGBライトなら、それぞれの発光体一つ一つに赤緑青の要素が全て含まれていてグリーンロタラなどの緑色をした水草はより緑に、赤い水草はより赤く、青い魚はより青を引き立てる効果があります。
昔はまさしく「選ばれしものだけが使えるRGBライト」といった感じで、価格も6~8万円ほどした超高級品のRGBライトですが、今では技術革新によりもっと高機能に、もっと価格を抑えた形で様々な機種が販売されるようになりました。
RGBライトの中で現在主流となっている定番機種がChihirosさんから発売されているWRGB2シリーズです。
価格は相場事情により若干変動しますが、およそ25000~28000円程度でとても優秀な水草照明が手に入ります。WRGB2は色の強さ、色彩を自由に変更可能でアプリ制御により点灯時刻も自由に設定できます。
発売当初からかなり品薄の商品で、LED照明の定番がおにぎりだとしたら、RGBライトの定番はこのWRGB2になりますね。
他にはスポット型の吊り下げ式RGBライトもあります。
写真の通りハルデザインさんのソラリス8000CTは私も長年愛用している照明です。
特徴は以下の通りで、
- 作業時に邪魔にならない
- 作業中も水槽が明るい
作業時で水槽内へ腕を差し込む際に、照明本体が邪魔にならない事がスポット型ライト最大の特徴です。
ある程度の経験者の方はわかると思いますが、フラットタイプ照明の場合は水槽の作業をする前に必ず照明をどこかへ外す行為が必要になります。
この一番初めの照明を外すという動作と作業後の照明を戻す行為がなんともめんどくさい工程なのですが、釣り下げ型のスポット照明なら全く心配する事なくはじめからいきなり作業ができる上に、照明を撤去しないので水槽内が明るい状態で作業できるのが吊り下げ型照明の強みですね。
吊り下げ式ライトは、その形状からインテリア性も抜群です。私が使っているソラリス8000CTは入荷の目途がたっていませんが、現在の主流な吊り下げ式RGBライトで最も主流な機種はCHihiros LED VIVID2と吊り下げ式アームのセットです。
他には先ほど紹介したおにぎりグロウを吊り下げるためのキットも存在します。
吊り下げ式のアームを使えば、照明本体の高さを調節する事によって光量の調節も可能となります。
水替えなど水槽管理を快適に過ごすためにも、吊り下げ式アームはできるだけ導入する事をオススメします。
まとめ
最後にまとめです。
- 水槽の照明選びはパッケージの性能表記をよく吟味しよう
- お金のケチりすぎは安物買いの銭失いになるので、予算と照らし合わせながら自分の想像する水槽環境にマッチした照明を探す
- Co2なしで、強い光が必要ないなら照明の予算を抑えられる。
- 水草育成を失敗したくないor色々な品種を育ててみたいなら、アクロトライアングルグロウが最適解「迷ったらとりあえずオニギリ」
- 予算があって水景や生体の色味にこだわりたいならRGBライトがオススメ
- 照明にはフラット照射タイプと吊り下げ型照明が存在するので特徴と性能を吟味しながら自分に合った照明を探してみよう
照明を買えただけでいきなり水草が育ち始めたり、急な変化が起こる事はアクアリウムであるあるだったりします。
- どの価格帯なら何ができるのか?
- そして水槽飼育で自分のやりたい事は何か?
この2つを軸に自分の照明予算と今回の解説を照らし合わせて、ぜひご自身の最適な水槽用照明を探してみてください。