こんにちは、こつまるです。
現代の水草水槽においてはCo2添加というのが定石となっているのですが、初心者のうちは何のことだかさっぱりわからないかと思います。
今回はそんな
Co2添加とはなんぞや?
という方に向けて、複数あるCo2添加の方法をざっくりまとめて4種類ほど解説していきます。
Co2添加とは?
みなさんはおそらく小学校の理科で
植物は光に当たると
二酸化炭素(Co2)を吸収して
酸素(O2)を排出する
と習ったのではないかと思います。
これは水中に漂っている水草も例外ではなく、水中に溶け込んでいるCo2を吸収して水草たちも光合成をおこない、成長します。
これも踏まえて、アクアリウムにおけるCo2の添加とは
ボンベなどの装置を使って水槽内の水へ強制的に二酸化炭素を溶け込ませる事
と、なります。
これはいわば
水草育成のブースト装置のようなもので
照明器具など他の条件も色々とありますが、Co2が豊富に溶け込んだ水の中では、水草たちは積極的に光合成をして健康に育ちます。
水草が健康に育つ→水槽内の栄養がより吸収される→余分な栄養が残りにくくなりコケの発生を抑えられるので飼育者の観点からしてもぜひ積極的に導入したい装置になりますね。
コケの発生とCo2添加が密接に関係しているという理由は、こちらの記事で紹介しているので今よりも水槽のコケを減らしたい!という方は確認してみましょう。
様々なCo2添加の方法
ではここからはいったいどんな方法で水槽にCo2を溶け込ませるのか?これを解説していきましょう。
現在主流のCo2添加の方法は下記の4種類です
- 発酵式
- ボンベ式
- 化学反応式
- 添加剤
それでは、上から順番にザックリと解説していきます。
発酵式
発酵式はイースト菌などで発酵が行われる時に発生するCo2を、タンク内に集めて水槽へ送り込む手法です。
昔はよくペットボトルにエアチューブのコネクタを自作でつなげたりしました
材料も砂糖とイースト菌のみなので、なにも難しいものは必要ありません。最近では上記のように初期費用3000円程度で発酵式専用のキットが各メーカーから発売されています。
ちなみにイースト菌とはあれですね、パンやピザの生地をコネコネする時に使うやつです。砂糖を溶け込ませた水溶液に、市販のイースト菌を混ぜてCo2を発生させます。
発酵式Co2添加の特徴としては初期費用・継続費用がとても安く、参入ハードルが低いことが最大のメリットです。しかし菌の発酵状態が室温に左右されやすく特に気温の低い冬場はボトルをクッションで覆うなどして保温しなければ安定的なCo2添加は望めないので、長期維持にはなにかと手間がかかります。
小型の水槽でCo2添加ってこんな感じなのねーみたいな感覚をつかむために、初めのうちの入門として使用するにはちょうど良いかと思いますが、60cm以上の水槽で長期にわたって水草育成を考えている人は別の添加方式を選んだ方がいいかもしれません。
ボンベ式
ボンベ式はあらかじめボンベに充填されているCo2を、レギュレーター(減圧器)という専用の器具を使って水槽へ送り込む手法です。
初期費用はレギュレーター(減圧器)、電磁弁、バブルカウンターなどを必要な器具を合わせると9000~12000円程度で設置が可能で、あとはボンベのタイプによって見た目やランニングコストに差があります。
- 小型ボンベ
- 大型ボンベ(通称:ミドボン)
と、2種類のタイプがあり、それぞれ特徴があるので確認していきましょう。
小型ボンベの特徴
食器用洗剤程度の大きさで、入手先としてはアクアショップなどで売っています。
もちろんアマゾンなどの通販でも売っています。
ボンベ自体が小型なので、あまりスペースを必要とせず30cm規格水槽など小型の水槽にも気軽に設置可能という点が大きな特徴です。一方でお世辞にもランニングコストが良いとは言えず、1秒1滴という一般的な添加速度でも一ヶ月ほど経過すると中の燃料がなくなってしまい新しいボンベに交換を余儀なくされます。
1本のボンベ交換で毎月400~500円程度のランニングコストが発生するので、毎月タバコ1箱を余分に買うイメージでしょうか?
そう考えるとなかなか馬鹿にならない値段だと思います。
ボトル自体が小さく、設置した見た目もスッキリとしているので、狭いところに水槽を置いていたり水槽全体をオシャレに見せる場合には候補として上がってくる添加方法です。
ミドボンの特徴
実はミドボンというのはあくまで通称で、これは緑ボンベと呼ばれる業務用の大型ボンベです。
見た通り大きくて存在感がすごいのですが、
これを使用する一番のメリットはその圧倒的なコストパフォーマンスの良さになります。
小型ボンベ | ミドボン | |
---|---|---|
(ざっくり相場) | ボンベ1本あたりの値段400~500円程度 | 初期ボンベ本体費用5000円+充填費3000円 (2回目以降は充填費のみ) |
1本あたりのCo2容量 | 60~74g (ボンベの規格による) | 5kg (1~30Kg程度まで存在する) |
使用開始から1年間の合計費用 | 4800円 (1月1本x12か月) | 8000円 (初期費用+初回充填費) |
5年使った場合の合計費用 | 24000円 (4800円x5年) | 8000円 (計算上5年で使い切らない) |
入手の手段 | ペット・アクアショップ、通販 | 酒屋、通販 |
小型ボンベを基準として比べると、ミドボンは初期費用こそ掛かりますが長く使えば使うほどランニングコスト面で小型ボンベよりもどんどん有利になっていきます。特に、二回目以降の充填も毎回3000円程度で5Kgほどの大容量Co2を利用できるので、小型ボンベに限らず他のCo2装置と比べても圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。
一方、デメリットとして
ミドボンにおける最大の注意点は
ボンベ自体の大きさと管理方法
本体を手に入れるためのハードルの高さです。
大容量のボンベなので当然大きさもそれなりです。各メーカーから販売されている水槽専用の設置台を購入するなどして、ボンベの置き場所をしっかり確保しなければ室内の景観を損なう可能性があります。
また、ミドボンは本来ならお酒や炭酸飲料を提供する飲食店での使用を目的として各飲料メーカーから酒屋さんへ提供されている物なので、本来の用途とは違う水槽へのCo2添加や専用器具を用いない炭酸水の作成などは原則禁止事項とされています。
今でこそミドボン使用はアクアリウム業界で一般的にはなりましたが、正規の用途ではないことを自覚した上で正しい接続器具の使用など、あくまでも自己責任で適切な管理が求められます。
この辺の事情に厳しい酒屋さんは、初対面の客が目的も語らずいきなり「ミドボン貸してください」と言ってきた場合に難色を示す事があり、最悪の場合絶対に貸してくれません。行きつけなどで自分がもともと仲の良い酒屋さんに頼むか、アクアリウムのプロショップなどで貸し出しているお店もありますので、みなさんの近所を探して回ってみましょう。
地元にたよれる酒屋さんが無い!
という方でミドボンがどうしても欲しい場合は奥の手が一つあります
輸送費や手数料などで酒屋さんから借りる通常相場よりも若干割高になってしまいますが、緑ボンベは通販でもレンタルや交換を請け負っている業者があります。
割高といっても一回あたり1万円程度でレンタルが可能で、2回目以降の再装填はできませんが先ほど紹介した表に照らし合わせても5年使用して1年あたりの単価は2000円以下となります。通販でもコストパフォーマンスはしっかり最高クラスなので、近所に頼れる酒屋・アクアショップが無い方は通販で取り寄せるのも全然ありです。
私も今は近所の酒屋さんに頼んでいますが、過去に使用していた緑ボンベのレンタルがありますので、興味のある方は下のリンクから詳細を確認してみてください。
小型ボンベの場合は、毎月新しいボンベに交換するたび「接続不良によるガス漏れの可能性」が付きまといますが、ミドボンは初めに一度しっかりと設置をしてしまえば数年放置も実際は可能なので、手間の少なさもガス漏れ事故の発生回数軽減にも最終的な費用も一番安いミドボンが個人的には一番おすすめです。
実際に私がミドボンを使って自宅水槽にCo2添加を設置した時の全工程を記録に残しているので、ミドボンの運用について本格的に考えている方は、下の記事も確認してみてください。
化学反応式
化学反応式は最近になって主流となりつつあるCo2の添加方法です。
化学反応式Co2添加は具体的にどんな方法かといいますと、銀色のタンク内で市販の重曹とクエン酸を温水で混ぜ合わせてCo2を作り出し、器具を通して水槽内へ送り込むという手法です。
重曹とクエン酸は、掃除用の粉末が100円ショップで材料が安く販売されているので小型ボンベに比べてコストパフォーマンスが良く、室温など外の環境に左右されないので発酵式よりも安定したCo2の供給が可能になっています。
まさに色々な添加方式のいいとこ取りになってますね。
具体的な初期費用はボンベキット一式の購入で12000~16000円程度、材料費は毎回300円程度、1秒1滴という一般的な添加速度でおよそ1~1.5か月持続します。ON/OFFを電気制御するための電磁弁や添加速度を測るためのバブルカウンターなど、販売されているキットの中にCo2添加で必要な機材一式がコミコミでそろっているのも嬉しいところです。銀色の見た目もスタイリッシュで置き場所も幅をとりにくいので、ミドボンに比べるとビジュアルもよく設置場所の制約もあまりありません。
欠点がほぼない、かなり優等生な添加方式ではあります。
しいてあげるとすれば毎回の充填作業が煩わしい事ぐらいでしょうか?
慣れればさほど目立った手間と言うわけでもないので、最終的に継続してアクアリウムをやりたいという方はこの化学反応式か、継続コストに優れたミドボンに落ち着くことが多く、私自身としてもかなりオススメな添加方式です。
添加剤
最後に添加剤方式というのをご紹介します。
これは水量に対して規定量の液剤を水槽に投入するだけの、今まで紹介したCo2の添加方法と比べて非常にお手軽なもので、ボンベも置けない、器具を導入できない、小型の水槽に気休めでもいいからCo2を添加してみたいという方にはちょうど良い添加方式になります。
しかしながら、効果自体は本当に気休め程度にしかならず、30cm以上の水槽になると他の添加方式を採用した方が、はるかに効率がいいのもまた事実です。
見た目だけでは胡散臭さは拭い去れないと思います、しかし私もこれを比較実験で使用してみたのですが実際のところ効果が無いわけではなくこの液剤添加による効果はあるものと考えて間違いないでしょう。
詳細はこの記事で使用感などをレビューしています
エビ類にも影響は全くなかったので、Co2器具を設置しにくいボトルアクアなどでは選択肢として上がってくる添加方法になります。
Co2添加にかかる費用
色々とCo2添加の手段を解説してきましたが
「んで、ぶっちゃけどれがいくらかかるの?」
という方に向けて、それぞれの添加方法ごとに初期費用と継続費用をまとめてみました。
発酵式 | 小型ボンベ | ミドボン | 化学反応式 | 添加剤 | |
器具等初期費用 | 3000円 | 12500円 | 20000円 | 13000円 | 500円 |
1年間の継続費用 | 使用開始から1200円 | 4800円 (1月1本x12か月) | 8000円 (初期費用+初回充填費) | 1800円 | 600円 |
5年使用時の合計費用 | 6000円 | 24000円 (4800円x5年) | 8000円以下 (計算上5年で使い切らない) | 9000円 | 3000円 |
注意点 | 添加量低 安価でお手軽 冬は安定しない | 添加量高 継続費用が高い ボンベ交換毎に失敗のリスク | 添加量高 継続時のコスパ最強 ボンベの置き場の確保が必須 | 添加量高 コスパと性能の優等生 毎回の補充作業が手間 | 超絶お手軽 効果はあるが性能は低い ボトルアクア向け |
Co2添加量を導入コストと継続費用の面で考えると、思い切って長期運用を見越してミドボンにするか、もしくは価格面でも性能面でも優秀な化学反応式を導入するのが、おそらく最適解となります。
まとめ
最後にまとめです
- アクアリウムにおいてCo2添加とは様々な手法を使って水槽内の水にCo2を溶け込ませる事
- 水草は光合成でCo2を必要とするので、添加によって水草が元気に育ちやすくなる
- 主な添加方法は発酵式・ボンベ式2種・化学反応式・添加剤の全部で4種類
- 筆者のおススメは継続費用絶対有利のミドボンか、導入ハードルが低くて価格も抑えめな化学反応式
Co2添加を駆使すれば今まで以上に水槽の水草たちが元気になる事間違いなしです。
みなさんもこれを機に、ご自身の予算や設置環境に合わせて、Co2の添加にチャレンジしてみましょう。