こんにちは、こつまるです
みなさん、元気に水草育てていますか?お魚飼育していますか?
これを読んでいる方の中には
- なかなか水草が成長しない
- 水槽がすぐコケにおおわれて肝心の水草が育たない
なんて方もいるのではないかと思います。
水草を元気に育てたい場合は様々な環境を整えてあげる事により、今よりも鮮やかに素早く成長してくれるかもしれません。
今回はコケに負けない水槽作りと元気な水草育成のコツとして、植物の成長に関わる栄養素の基礎知識と効果的な環境の整え方を解説していこうとおもいます。
- 水草を元気に育てるための栄養知識
- コケが生えてしまう原因とその解決方法
学者のように知識レベルが深いわけでもありませんが、10年ほど水槽を趣味でやっていた人間の経験をまとめた覚え書きです。
最初に結論として、話のポイントを紹介します。
水槽のコケを抑えて、さらに水草を元気に育てるためには
- 水草の3大栄養素を理解しよう
- 栄養・照明・Co2などの環境をバランスよく整える
- カレーライス理論で水の栄養を考える
以上の事に注意しながら水槽管理をしていきましょう。
これからわかりやすく順番に解説していきます。
もし必要な情報だけを確認したい場合は、目次の方から気になる部分を飛ばして読んでみてください。
それでは今回もザックリやっていきましょう。
植物の三大栄養素を理解しよう
ここでは、植物の育成に欠かせない用語の一つとして
【3大栄養素】
というのを紹介していきます。3大栄養素というのはアクアリウムに限った話ではなく、農業や園芸など植物全般の育成で広く使用されている理論です。
3つの栄養素とは窒素・リン酸・カリウムの事で、この他にも植物に必要な栄養素として微量要素というのが数種類あります。順を追って解説していきましょう。
窒素(N)
まず紹介するのは「チッソ(窒素)」です。
化学表記はNで、植物の葉と茎の成長に大きくかかわる栄養素です。
これは必須栄養素の一つなので、欠乏すると成長が遅くなり・葉が黄色になったりで様々な症状が現れます。
中でも有茎草や葉が大きな水草にとっては特に重要な栄養素ですね。
リン酸(P)
次は「リン(リン酸)」です。
化学表記はPで花や実をつけるために必要とされる栄養素です。
必須の栄養素なので、花や実をつけない植物でもある程度は必要です。
水草においてはアヌビアスナナやブセファランドラなど、水中でも花をつける植物が存在するので、これらの育成に大きく関わってきます。
カリウム(K)
さいごに「カリ(カリウム)」です。
化学表記はKで、根の育成に関わる栄養素です。
キューバパールグラスやショートヘアーグラスなど、前景草は土への根張りが重要になるので特に必要な栄養素となるでしょう。
水草水槽でよくありがちなのが、肥料のやりすぎでカリウムの過剰摂取が起こった場合に、新芽が委縮して成長しにくくなる場合があります。
微量要素(鉄分など)
その他の栄養素として微量要素というものがあります
ザックリいうと硫黄・鉄・マンガン・銅・亜鉛・ホウ素・モリブデンなどですが、これらは植物の細胞壁や葉緑素の形成、植物内でのタンパク質の合成・代謝の促進など、それぞれの役割で水草の成長と密接に関わっています。
これら微量要素は「絶対に全ての微量要素が無ければならない」というほどでもありません。三大栄養素ほど多くは必要とせず、少量で構わないですが、あると水草育成が非常に安定する栄養素たちです。
栄養量+環境で水草への吸収率が変わる
これまで紹介した栄養素に加えて、水草たちを取り巻く環境も特に重要になってきます。
水草水槽においては栄養素の他に水質・照明・Co2添加の量などが必要とされて、この環境によっても水草の成長速度に大きな影響をもたらします。
リービッヒの最小律(ドベネックの桶)
今までに紹介した栄養素+環境の要因が密接にかかわる一つの目安として、昔から使われている有名な用語に「リービッヒの最小律」というものがあります。そしてこのリービッヒの最少律を元に、さまざまな要素も複合させて言われるようになった理論が「ドベネックの桶」です。
専門用語はちょっとよくわからないよ、簡単に教えて!
という方のために、つまりどういう事なのかとザックリいいますと
水槽内で環境バランスに偏りがある場合
過剰すぎる肥料・多すぎるCo2添加・強い光量などはすべてが無駄になり、最低限しか水草は育たない
という事です。
下の図を見てみましょう
桶に水が入っていて、窒素の部分をつかさどる板だけが短くなっていますね。
このような状態ですと、短い板のせいで正しい高さまで水を貯める事ができず、他の長い板が無駄になっている事がわかります。
そしてこれを改善するにはどうすればいいのかと言うと、やはり不足している板の長さを補って伸ばしてあげる必要があります。
この
「不足を補う」
という考えが、後でとても重要になってきますので、ここで一つ覚えておきましょう。
【ポイント】
水槽を取り巻く様々な環境要因の中で、不足している要素は補ってあげる
カレーライス理論
いろいろと講釈をたれてきましたが、ではこれまで紹介した栄養素の知識をどのように水草育成で活用していけばいいのでしょうか?
そのカギはみんな大好きカレーライスにあります。
…
・・・
…は?
何言ってんだお前?
って思う気持ちもわかります、すごくわかります。
しかし聞いてもらいたい!
カレーライス理論とは、私が勝手に一人で提唱している水槽内の栄養素に関する考え方の事です。3大栄養素から微量要素に至るまで、すべてをカレーライスに置き換えてわかりやすく説明ができるのでこのように名付けました。これから各要素が、どのような形で置き換えられるのかを確認していきましょう。
皿→照明+Co2(整えるべき環境)
ここで言うカレーの皿は、水槽内でどういうポジションかというと周辺環境です。
お皿が小さすぎる場合にはご飯がたくさんのせられないですよね?
まさに全ての土台となる環境要素です。
具体的に言うと水草にとって重要な周辺環境とは
- 水草の育成に十分な量の光が当たっている事
- 適切に水槽内へCo2が溶け込んでいること
- 温度が適正になっている事
これが大きな皿の条件です。
厳密にいうと他にも水質などの環境要因がありますが、水質について深掘りするとこのまま日付が変わってしまいそうなので、ここでは割愛させていただきます。
水質の詳細については、今回と別に水槽のpH(ペーハー)や硬度の知識をさらに詳しく解説している記事があるので、今よりも詳しく知りたいという方は以下を確認してください。
ひとまずは自宅の水道水でしっかりとカルキ抜きを使い、定期的な水替えが正常に行われていれば水質の詳細は今のところ考えなくても大丈夫です。
光に関しては照明器具の選択がとても重要になってくるのですが、そのための資料として照明性能の解説を行っていますので、下の記事も参考にしてみてください。できるだけわかりやすく、照明を選ぶ際のスペックの見かたなどを解説しています。
Co2はボンベなどを使って水槽の水に二酸化炭素を溶け込ませます。
昔、小学校の理科などで教わったかもしれませんが、水草は光合成をする際にCo2を必要としますので、植えている水草と種類に合わせて添加を行います。
Co2添加の意味がイマイチ分からん。
という方はこちらの記事でCo2の添加方法を紹介しているので確認してみてください。
ご飯→主食2つ窒素+リン酸(水槽に元から存在する物)
次にカレーライスのご飯ですが、これは食事のメインとなる部分です。
ご飯を水槽内で例えると、3大栄養素のうちの窒素とリンです。
この二つの栄養素は魚を飼育している限り、人間が投入するエサと生体が出す排泄物がバクテリアに分解されることで自然と供給されます。
ようするに、水中で生き物を飼っていれば窒素とリン酸が不足するという事はほとんどありません。
エサの食べ残しやフンがバクテリアによって分解される理由は、下の記事で詳しく解説しているので興味がある方は確認してみましょう。この記事でバクテリアを知れば水質管理が今までよりもぐっとレベルアップする事間違いなしです。
※厳密に言えば今回の話は、水槽にバクテリアが定着していることが必須の条件となっています、窒素もリンもそれぞれ役割がありますし窒素・リンのお互いのバランスも重要になってくるのですが、話がややこしくなりすぎるのと普通の飼育環境下では元から存在するという共通の意味合いで、わかりやすさ重視でひとくくりにしています
カレー→カリウム(後から加えなければ存在しない物)
次にカレールーです。
カレーのルーは外部から加えなければいけない物として、水草水槽では3大栄養素のうちの最後の一つカリウムに相当します。
さらにこのカリウムという物質は、窒素やリンと違い水槽内に自然発生する事はほとんどありません。
つまり
ただ飼育しているだけでは水槽内にカリウムはほとんど供給されない
ということです。
トリミングした水草から少量溶け出すなど、ごく微量で水中に存在しますが基本的には欠乏する事がとても多い栄養素で肥料や液体添加剤などで人工的に水槽内へ投入してあげなければなりません。
前の項目で不足を補うと言っていたのが、このカリウムの人工的な添加についての事です。
福神漬け→鉄分などの微量要素(あればうれしい物)
微量要素はカレーの福神漬けポジションです。
別になくても致命的な問題は無いけど、あったらもっとうれしい。
そんな栄養素ですね。
正直言って、よほどの熟練者ではない限り微量要素の種類を全て覚えて管理しているアクアリストはいません。
しかし一般レベルの水槽でも、微量要素の中で鉄分は特に添加した方がいいとされるケースが多く、鉄分を添加することによって水草の調子を鮮やかに維持する事ができるのもまた事実です。
鉄分の添加剤は、カリウムと同様に自作によって鉄の成分を抽出することができますが。作業手順や保管時の予備知識などややこしい面も多く、一般的に売られている市販の添加剤を使う事が最も管理しやすい方法です。
鉄分の液肥として昔から有名な物にメネデールがあります。
他にはADAさんが販売している
がとても有名ですが、こちらは店頭販売でしか入手する事ができない為、特に地方在住者などは通販でお手軽に入手可能なメネデールの方が扱いやすいです。
実際にメネデールは私も愛用していて、赤系水草の発色向上にとても役立っています。
食べる人→水草(栄養素を消費吸収する)
カレー本体の話だけにとどまらず
誰がカレー(栄養素)を食べる(吸収する)のか?
という部分も、実は非常に重要となってきます。
水槽内でカレーを食べる人に相当するのは水草たちですね。
水草は水槽内の栄養素を吸収する役割を持っていますが、水草の種類によっても吸収率にそれぞれ差が生まれるので、まずその差を確認していきましょう。
ザックリ説明すると、大食いの有茎草と少食な陰性水草が代表的です。
有茎草(運動部)
ロタラをはじめとする有茎草たちは運動部に例えられます。
主に茎など節目のある水草がこの部類にあたりますが、ロタラ・パールグラス・ハイグロフィラ・アンブリア・ルドヴィシアなどが代表的で、高いCo2濃度や十分な光量など育成環境のハードルを高く要求される傾向があります。
これらの有茎草はスポーツにはげむ育ちざかりの運動部員のように食欲旺盛です。
と言わんばかりに、栄養素を要求してきます。
栄養の吸収に比例して成長速度も速い品種が多く、環境が整っている水槽では1~2週間程度で水槽上部まで成長してしまうので、頻繁にトリミングを行う必要があります。
管理の手間はかかりますが、栄養吸収が多いというのが逆にメリットでもあるので、この辺に関しては後で詳しく解説します。
陰性水草(文化部)
「陰性水草」と言われる種類の水草は、室内で活動している文化部員のように静かで、食欲はあまりありません。
ごめんなさい、部活動で文化部を選んでいた方をディスる意図は全くありません。これはあくまで文化部の経験がある私の勝手なイメージです。
代表的な陰性の水草はアヌビアス系・ブセファランドラ・ボルビディス・クリプトコリネ・ウィローモスなどですが、これらの品種は有茎草ほど高い環境を要求しないものが多く、Co2添加なし・低光量でも育成が可能です。
陰性水草は成長可能な育成環境のハードルが低いので、要求される栄養素や光量も少なく、水草の形状自体もあまり大きく変化しないのでトリミングなどの管理の手間がかからない品種がほとんどです。
管理の手間が少なくて済む反面、栄養素の吸収能力は有茎草ほどではないので、陰性水草しか植えていない水槽は、吸収しきれなかった栄養素が水槽内に残留する場合が多く、エサの分量など日々の栄養管理を繊細に行う必要があります。
陰性水草は有茎草と比べて、気にしなければならない管理の要点が違うので、どっちの水草が優れているというわけではなく、それぞれにどんな特徴があるのか理解する事が大切
余った栄養素たちのゆくえ
ここまでで
- 栄養と環境が大事で、バランスよく水槽に取り入れる事が重要
- 水草は種類によって栄養素の吸収能力が異なる
という事が、ざっくりわかったかと思います。
しかし一つ疑問が浮かびます。
多すぎたご飯・多すぎたカレールーなど、余ってしまったバランスの悪い栄養素たちはいったいどこへ消えてしまうのでしょうか?
結論から言うとコケの原因はこの過剰に余ってしまった不要な栄養素たちです。
彼らは水草が吸収できなかった栄養を代わりに消費してあげようと、どこからともなくやってきた環境の救世主。人間にとっては外観を損ねるため嫌われがちなコケですが、自然環境の均衡を保とうとする隠れた役者なんですね。
また、どの栄養素が偏っているかによっても発生するコケの形状が異なります。
例えば水槽の設置直後にはフィルターなどの濾過環境が未熟なので茶色のコケが出てきますし、リン酸・カルシウム・マグネシウムが多い場合には水流の強い箇所に黒ひげ状のコケが生えてきます。
コケを抑えるために
コケを抑えるためにするべきことは、コケの成長チャンスを奪う事
水槽の中に残留する栄養素をできる限り少なくすることです。
先ほどのカレーライス理論で考えると、水草たちが残さずカレーを食べきることが重要で、具体的には3つの方法があるので確認していきましょう。
①不足した栄養素を補う→カリウムの添加
水草たちが栄養素を残さず吸収できるようにするため
まず一つ目は、足りないカレールーを追加してあげる手段です
カリウムの添加は、水槽の設置初期に粒状の肥料をあらかじめ埋め込むか、設置後の水槽内へ液肥によって追加で投入する方法が一般的です。
液肥ってなに?具体的にどうすればいいのかわからない、
まだカリウムなんて添加したことが無いよ!
という方は、下の記事で格安なカリウム肥料を自作する方法を紹介していますので確認してみてください。
②過剰な栄養素を抑える→エサの量をしぼる
カレーライス理論でいうごはんにあたる栄養素は、魚にエサを与える事で供給されます。
水槽の大きさに対して生体の数が多すぎたり、飼育している魚たちに愛着があるからといって何度も頻繁に大量の餌を与えていると三大栄養素のうちの窒素・リンが水槽内で増えすぎて栄養バランスが崩れてしまいます。
カリウムの添加をしても追い付かないほどに栄養バランスが偏ると、これもまたコケの発生原因になりますので給餌は控えめに行いましょう。
基本的にエサやりは、決まった時間に1日1回で「こんなに少なくて大丈夫?」と思うレベルの量で問題ありません。
③水草をなるべくたくさん植える→栄養の消費役を増やす
バランスよく環境を整えて立派なカレーが完成したら、それを残さず水草たちに吸収してもらう番です。
鍋一杯のカレー(沢山の栄養素)を一人で食べようと思ったら大変なことになりますが、20人で食べればそれほど難しくはないですよね?
私の経験上、コケに悩まされている水槽は植えている水草が足らない場合がほとんどです。特殊なレイアウトにこだわっていない限りは、とにかく有茎草などの栄養吸収が盛んな水草を沢山植えて余った栄養がコケに行き渡らないように心がけましょう。
以上の3つを意識して、さらに定期的な水替えを行っていればコケの生えにくい水槽環境を作ることができます。
まとめ
さいごにまとめです。
- 水草の3大栄養素を理解しよう
- 窒素・リン酸・カリウム・その他の栄養(鉄分)・照明・Co2をバランスよく整える
- 多すぎる栄養はコケの元
- 植えている水草の特性に合わせてエサと肥料の量を調節しよう
- 基本、エサは思ってるよりもだいぶ少なめでOK
- 水替えは定期的に行う
さらにザックリと、ほんと簡単にいうと
- 照明
- Co2
- 肥料添加
- 少なめのエサ
- たくさんの水草
- 水替え
この6つを水槽内で完備すれば、水槽に発生するコケを抑える事ができます。
ちなみに今まで解説した内容は、あくまでコケ抑制の手段にすぎません。
すでにコケが蔓延している場合には物理的にコケを取り除くことが必要となってきますので、コケの抑制に加えてエビなどのコケ取り生体の導入をするか、日々のメンテナンス時に人間の力で物理的に取り除く必要があります。コケの除去と並行して今回の解説を元に水槽管理を行えば、必ず皆さんの水槽にコケがなくなる時が訪れるでしょう。
以上がコケを抑えて水草を健康に育てるための基礎知識と方法です。
100人いれば100人分の水槽レイアウトと水の環境がありますが、大筋でコケの悩みを解決する手段はだいたい同じです。まずは自分の水槽に何が足らないのか、何をしすぎているのか分析する事から始めましょう。